元風俗嬢晶子の日記Top >  おすすめDVD >  長江哀歌 (ちょうこうエレジー)

長江哀歌 (ちょうこうエレジー)

長江哀歌 (ちょうこうエレジー)

リー・チュウビン

長江哀歌 (ちょうこうエレジー)

中身を見る>>



綱渡りの現代中国
キェシロフスキの『傷跡』と同じように、急速に経済発展を遂げつつある中国をテーマにした作品だ。長江の古都・奉節に三峡ダムが建設される。別れた女房を探しにダムに沈んだ町を訪れるサンミン、そしてダム建設工事に携わる音信不通の夫を尋ねてきたシェン・フォン。この2人のストーリーは劇中けっして交わることがなく、ダムに水没する運命の古都が瓦礫の山と化していくように、深い喪失感におおわれている。



しかし、ジャ・ジャンクーはそんな中国を悲観しているだけではない。この映画には上半身ハダカのたくましい肉体労働者がたくさん登場するが、経済発展の恩恵を受けて、彼らの汗はみずみずしく輝き生命力にあふれているのだ。劇中再三聞かされるJ-POPならぬC-POPも、中国が秘めた底知れぬエネルギーを感じないではない。



「タバコ」「酒」「茶」「飴」のコラージュの意図として、近代化された中国の中にあっても市民生活に根付いた<変わらないもの>を表現したかったのではないか。計画経済下の時代から国家より支給されていたというこれらの嗜好品は、一般市民生活に深く浸透しており、劇中人と人との絆形成に一役も二役も買っている。



一方で、急激な経済発展を手放しでほめたたえているわけではない監督ののいたずらっ子のような目を感じることができる。一瞬「なんだこれ」と観客を驚かせるシュールな映像を覚えているだろうか。三峡ダムを渡るUFO(光る鳥)?、ロケット発射する倒壊寸前の建物、TVゲームに興じる清朝役人?。李白の詩にもうたわれた風光明媚なこの地に建設された、ライトアップする橋や町をまるごと水没させるダムにジャ・ジャンクーは明らかな<違和感>を覚えているのである。



将来、資本経済に毒された形だけの共産国家となりはてるのか、はたまた、労働者がたくましく<生>を謳歌できる人間主体の国家に成長していくのか。まるで<綱渡り>のごとく、どちらの側に転ぶのかわからない現代中国の行く末を、ジャ・ジャンクーはイーストウッドのごとき中立的な目で見守っている。

コレが現代中国映画の最高峰です!
『青の稲妻』で、地方に暮らす若者の閉塞感、苛立ち、破天荒な青春を鮮烈に描いたジャ・ジャンクー(賈樟柯)が、一転して「耐える」人々の姿を見事に描いたのが『長江哀歌』原題(三峡好人・三峡の善人)です。


主題は、山西省から古都「奉節」にやって来た二人の男女、ハン・サンミンとシェン・ホンそれぞれの、妻と子、夫探しの物語だが、二人に関わる奉節の住人との暖かい交流が、作品に一段と深みを与えています。 この作品でジャ・ジャンクーは、烟(タバコ)、酒、茶、糖(アメ)、更に携帯電話、中国人に無くてはならない五つの品物で、人と人との絆、物語を巧に紡いでいきます。


それと平行して、洪水の被害から国民を守るため計画された三峡ダム建設により、二千年の歴史有る古都「奉節」が、長年住み慣れた我が家が、長江の河底に埋没してしまう庶民の悲哀が淡々と描かれます。 劇中、突然UFOが飛来したり、奇妙な形の建物がロケットのように発射するシュールな場面。 シェン・ホンがしきりにペットボトルの水を飲むシーン。ビルとビルとの間を綱渡りする男。一見、不可解に見えるシーンにも、ジャ・ジャンクーは深い意味を持たせています。

『プラットホーム』と比べると、長回しのショットも少なく、全体に見やすくなっています。小型カメラで撮影された 「長江」そして古都「奉節」の風景は素晴らしい、感動します。過去の作品と同様、その時代の流行歌を巧に取り入れた語り口の上手さも特筆ものです。


益々広がる都市と地方の格差。厳しい現実に向きあっても、何の手立ても持たぬ庶民の嘆きと焦燥、そして如何なる情況下に置かれようとも途絶えぬ人々の不屈の生命力を、若き名匠は少しの衒いもなく淡々と描いています。
2007年キネマ旬報ベスト1。名作です。




静物画
中国語題「三峡好人」(三峡のいい人)、英語題「Still Life」(静物)、日本語題「長江哀歌」という違いは、各地域でのジャジャンクーの受け止められ方がよくわかる気がする。

英語題通り、構図が美しい、説明を拒んだ写真集のような映画。

ジャ・ジャンクーの映画はいつも、発展する中国で逞しく生きる庶民の佇まいの美しさを描いているようでいて、それを無慈悲に飲み込む世界のほうが美しい。水を飲むシーンが多い。彼らはダムに飲み込まれる。余力為の映像の残酷さが際立っている。第六世代のゴダールと呼ばれた章明(ツァン・ミン)の『沈む街』も、三峡ダムの底に沈むであろう街の日常を丹念に描いた作品だった。川魚を捌く手をしつこくクローズアップしていた記憶がある。

賈樟柯の大きな特徴というかアイデンティティのように思っていた長回しが大きく減り、意外と細かくカットを割っている。


アナル 拷問 8

関連エントリー

元風俗嬢晶子の日記Top >  おすすめDVD >  長江哀歌 (ちょうこうエレジー)